日本語と英語では、話の構成が異なります。 今回は、ビジネスで特に重要な「構成」について、想定した会話を例に解説します。
■ 設定
Aさんは、新製品のプレゼンテーションをしました。
同僚のBさんが「プレゼンテーションは、どうだったか」を尋ねた時の会話です。
■ 会話
A-san: “I gave the presentation yesterday.”
B-san: “How did it go?”
A-san: “I was a little bit nervous the day before the presentation. So, I couldn’t sleep well. The next morning, I was still nervous. I showed up at the conference room an hour early. So, I had plenty of time to prepare but was still nervous. Yet, once I started the presentation, I did not feel nervous. I stayed focused on the presentation.”
B-san: “So, do you mean the presentation went well?”
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Aさん: 昨日プレゼンをしました。
Bさん: どうだったの。
Aさん: プレゼンの前日は少し緊張してたんだ。それでよく眠れなかったんだ。 翌朝もまだ緊張していて。会議室には1時間早く着いんだ。だから準備の時間はたっぷりあったんだ。でも、まだ緊張していた。 でも、プレゼンが始まると、緊張は全く感じなかったんだ。
Bさん: で、プレゼンは、うまくいったってこと?
■ 解説
この例では、Bさんの質問に対して、Aさんは的確に回答していません。
緊張で、前日よく眠れなかっただの、プレゼンテーション当日の朝も緊張していただの、会議室に早くに来たのに、まだ緊張していた云々。
Bさんは業を煮やして、「で、プレゼンテーションは、上手くいったのか」と再度、聞かなければならなくなっています。
本題や結論に入らないで、そこに至る過程の話し(これを私は『周辺情報』と呼んでいます)を長々と話しています。これは、極めて日本語的な構成です。日本語構成を、そのまま英語に持ち込んではいけません。
本題とは、自分が伝えたい内容。結論とは、相手が尋ねている内容に対する回答や情報を指します。これを、真っ先に言うことが肝要です。これを言わないで、『周辺情報』をダラダラと述べるのは、好まれません。と言うより「ダメ」です。ビジネスでは、間違いなく、嫌われる話し方です。
英検やTOEICのテストでも、まず「結論もしくは相手の質問に対する回答を言い、その後で、それらをサポートする根拠、理由、事例を述べ、最後にもう一度、結論を述べる」ようになっていますよね。しかし、実際にFree Talkなどで話し出すと、多くの人が『周辺情報』から話し始めます。
これは、ある程度、英語が話せるようになった中級以上の人に多く見られる傾向です。
英語力を上げるためには、簡潔に述べる訓練が大切です。
周辺情報から話し始めないことを【外堀から話さない】と呼んでいます。
本稿、タイトル冒頭の絵を見てください。ここでは、お城を攻める時、周辺の堀から攻めるのではなく、いきなり本丸を攻めましょう、ということを表しています。外堀である周辺情報は後にして、本丸となる本題・結論を話そう、と言う意味です。
もし、『周辺情報』から話し始めた場合、聞き手・読み手にはどのように伝わるでしょうか。
以下の絵を見てください。周辺情報から話し始めると、何が言いたいのか、が不明瞭となります。聞き手・読み手が最も知りたい内容が、ぼやけてしまいます。最初に言いたいことを述べましょう。
主題・回答と、外堀の内容の位置関係を示すと以下のようになります。
■ 結論
日本語では、情報の発信側は、細かいことを積み上げて、その過程で聞き手・読み手と情報を共有して、場合によっては共感を得て、最後に結論を述べる構成となっています。
日本人のPowerPointによるプレゼンテーションでは、顕著にこの傾向が現れます。全体像をつかみたいaudienceに対して、非常に細かい内容をダラダラと話してしまい、結局、何が言いたかったのか、全く理解されないで終わってしまうのを何回も見てきました。
{英語が話せる = 相手に理解してもらう能力、説得する能力} ではないことを充分に理解することが重要です。
英語による伝達は構成が異なるので、注意しましょう。
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