わが街ナンシ-はフランス北東部のロレ-ヌ地方にあり、ドイツやルクセンブルグに近いです。
ビ-ル消費国であるドイツのほうが、ワイン消費国のフランスよりもビ-ルが安いので、友人の中にはドライブがてら国境を越えてドイツにビ-ルを買いに行く人もいます。
また、多くの街がドイツに姉妹都市を持ち、学校ではドイツへの遠足や姉妹校間の交換ホ-ムステイ研修などを設けています。
ナンシ-は今も昔もずっとフランス語文化圏ですが、同じロレ-ヌ地方でも東部は、お隣のアルザス地方と合わせてフランスとドイツの間で割譲の歴史を繰り返してきました。
第二次世界大戦後にやっと、このロレ-ヌ・アルザス地方はフランスの領土と定着しました。
南仏出身の作家ド-デが、「最後の授業」という物語を書いています。
1871年の普仏戦争でのフランスの敗戦により、アルザス地方がフランスからドイツに割譲されたという歴史的背景のもとに書かれた作品です。
小学生だった私には、この物語の歴史的背景を実際に感じることはできていなかったと思います。
フランスに住み始め、フランス語文化圏のナンシ-とアルザス地方のストラスブ-ルを訪れ、街中の建築様式の違いを目にすることによって、歴史に翻弄された地域があったことは事実なのだと感じることができました。
ナンシ-にはバロック調やア-ル・ヌ-ボ様式の華やかで優雅な建物多し。
ストラスブ-ルには木組みの壁に、三角の尖ったお屋根が多いメルヘンチックな建物多し。
同じフランスの街なのに、見事に建築様式が違います。
歴史のいたずらがあったことは、建築物からだけではなく、現地の人の意識、言葉からも感じることができます。
お仕事で一緒になったアルザス人のS氏はよく、こう言っていました。
« Nous, Alsaciens sommes —, mais les Français sont — = We, Alsacien are —, but French are —. »
ストラスブ-ルを離れ、アルザスの小さな美しい村を訪れれば、ドイツ語から派生し、フランス語の要素が入り込んだアルザス語での会話を運良く耳にすることもできるかもしれません。
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