今日のお薦め英文学はヴィクトリア朝がわかるものです。
イギリスは、女王の時代に栄えるといわれています。2人のエリザベス女王の時代、ヴィクトリア女王の時代。
ヴィクトリア朝、産業革命が始まり、多くの植民地と共に英国が1800年代の終わりまで華々しい繁栄を遂げた時代。
この繁栄と共に、中産階級や新興裕福階層(ブルジョワジーなど)の勢力が拡大、新勢力階層は貴族階級の品格や生活規範を模倣しようとやっきになり、その結果、名誉や利益などに心を奪われた、疑似ジェントルマンが出現。また、新勢力の奥様方は富拡大の恩恵を受け、貴族の奥方のように家庭に落ち着き、家庭を守る役割を期待されます。良妻賢母、家庭の天使、それが当時の理想の女性像でした。
こういった時代背景のもと、1891年にト-マス・ハ-ディ-が「ダーバヴィル家のテス-純真な乙女」を執筆。
貧農家庭に生まれた美少女、テスは常に清く正しく生きようとしますが、真剣に生きようとする彼女の意志とは反対に、周りの思惑に巻き込まれ、彼女の必死の努力は次々と打ち砕かれ、彼女は無残にも滅んでいきます。テスを見ていると、人間は望まぬ運命に巻き込まれてしまう事を避けられないのだなと感じます。
原書や翻訳を読みながら、テスの姿かたち、やさしいエンジェル、美しいド-セットの牧歌的な田園風景を想像するのはとても楽しいです。が,想像に限界を感じ、映像を見たかったら、ロ-マン・ポランスキ-監督の「テス」があります。
光り輝くほどに眩しく、清楚なテスを演じるナスタ-シャ・キンスキ-、青空に浮かぶ白い雲のもとに広がる農場の緑、厳しい冬の光景、どのシ-ンも絵画のように美しいです。さすが、巨匠ポランスキ-監督。また、悲しい哀愁的な響きの音楽も、テスの過酷な運命をよく表しています。
この作品から当時の時代背景や歴史を知りたい好奇心を掻き立てられるかもしれません。
あるいは、善意ある平凡な人間テスの身に起こる非情な運命、彼女の苦悩から、生きることの難しさや自分の置かれている状況の客観視など、哲学にふけるのいいのでは・・・。
\ ワールドトークでMasami先生のレッスンを受けられます! /