こんにちは。講師のKazuです。
2023年第3回の英検が終わりましたね。受験された方、お疲れさまでした!
私の生徒さんでは2名の方が英検1級に合格され、
「先生のサポートのおかげです!」
「いつも優しい笑顔で迎えていただき有意義なレッスンをしてくださいました!」
など身に余るお言葉をいただいております。
お忙しい中にもかかわらず、前のめりにレッスンに参加くださったお二方。
ひとえに生徒さんの不断の努力の賜物だと、ひしひしと感じています。
さて、今回のテーマは英検1級単語 “banter”です 。
私のお気に入りの小説
Kazuo Ishiguro氏著『The Remains of the Day』(2005 Edition, (New edition) Publisher: Faber and Faber)
を基に、この単語について紹介させていただきます。
小説全体を通して、1つの重要なキーワードとなっている “banter”。
2024年英検1級受験を控える学習者の方に、ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。
主人公のイギリス執事による、ほろ苦い「人生回顧録」
1989年に刊行され、同年のブッカー賞受賞作となった本作。
舞台は、1956年夏のイギリスです。
老練執事のStevensが思いがけず数日間の休暇を得たことから、物語が動き出します。
誰もが経験する「老い」。
プロフェッショナルとしての自分と、老いていく「一個人」としての自分。その葛藤。
輝かしい過去を忘れられないながらも、今ある自分を前向きに受け入れていく主人公の心情が丹念に描かれた作品です。
文章の難易度は、以前のブログで紹介した
Jane Austen著『Pride and Prejudice』と比較すると平易です。
準1級レベルの方でも十分読解可能な難易度のため、初めて洋書にチャレンジする方にもおすすめしたい作品です。
雇い主の “banter” に悩む Stevens
では、この作品の中で”banter” はどのように使われているのでしょうか。
主人公Stevensが、新しい雇い主との関係性を自問するシーンを見てみましょう。
I should point out that just such bantering on my new employer’s part has characterized much of our relationship over these months - though I must confess, I remain rather unsure as to how I should respond.
Ishiguro, Kazuo. The Remains of the Day. London: Faber and Faber, 2005 Edition, (New edition): 15
「雇い主の “banter” に対してどう反応すればよいか、数ヵ月間ずっとわからないままだ」
と、ある種の困惑があるように読み取れます。
banterとは即ち、「冗談」という意味。
気さくな雇い主の軽妙な「冗談」に、実直な性格のあまり上手く返答できないStevensのもどかしさが端的に表されていますね。
おわりに:単語との偶然の出会いを大事に!
出会った単語1語1語との「思い出」をいくつ作れるか。
個人的にはそれが、英検1級の語彙を覚えるために大事だと感じています。
「あの小説のこのシーンで初めて “banter”と出会ったなあ」
「この前も新聞記事で “harbinger” って見なかったっけ?」
「あ、チャットでこの人 “procrastinate” って使ってる・・日常会話でも使うんだ!」
など、1回1回の偶然の出会いを印象深く覚えておく。(ちなみに全部私の実話です)
そうすると、難易度が高い単語も記憶に残りやすいです。
ちなみに私は文学部出身で本を読むことが好きなので、
小説のシーンが新しい単語との「思い出」になることが多いです。
2024年からは、英検1級も新形式になりますね。
語彙問題の数は減りますが、気を緩めずに引き続き単語を楽しく!覚えていきましょう!
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