ここフランスでは5月11日から13日は、高校3年生の学生諸君が正念場を迎えています。
上記の日程で、全国規模の、高校までの中等教育を終了したことを認定し、大学入学資格があることを証明する資格試験が行われるからです。
この手のタイプの資格試験、イギリスではA-Level、イタリアではMaturita 、フランスではLe Baccalauréat、通称BACと呼ばれています。
皆さんは英語を学習していらっしゃるので、英語圏での教育制度により興味があると思うのですが、フランスの理解困難な教育事情を垣間見るのもよいかなっと思い、今回はBACについてざっくり触れてみます。
BACは普通科のBAC Général、工業系のBAC Technologique、職業系のBAC Professionnelの3種類があります。私がお話しするのは子供たちが受験した(息子)、する(娘)1番目のBAC Généralです。
BACは高校2年生と3年生の2年間にわたって受験します。
まずは、1年生の時に自分の専門科目を3科目選択します。
そして、2年生で、選択した専門科目のうち1科目+フランス語筆記+フランス語口頭試験Orale de français を受験します。
最終学年の3年生では、残りの専門科目2科目+哲学+口頭試験Grand oral となります。
歴史&地理、語学、体育、数学、理科全般などの全員に共通の科目は、2年生、3年生を通じての集大成contrôle continu として評価されます。
今は3年生が専門科目の2科目に取り組んでいます。
その後、6月16日にフランス語の筆記、6月15日に哲学、6月20日から7月1日の間にl’oral de françaisかGrand oral が各自行われます。
哲学の試験内容ですが、
-議論することが暴力を放棄することか?
-無意識は、すべての形の認識を逃れるか?
みたいなわけのわからない抽象的なお題について論じていきます。
うちの息子は2019/2020、2020/2021の受験者で、2019/2020の試験はコロナで全て中止、2020/2021も哲学+口頭試験Grand oral 以外は中止でした。
勉強しない彼には好都合、なんと悪運の強い男。
さて、このBACなのですが、結果は7月5日に発表になります。
バックを取得するには、20点満点のうち10点以上を取る必要があります。
これは各科目でなくて、全体での話なので、極端に苦手な科目があっても、得意科目でカバ-できるという好意的な代物です。
結果が12点以上なら”がんばりました”(assez bien)、14点以上なら”よくできました”(bien)、16点以上なら”大変よくできました”(très bien)という評価がつきます。この一言(Mention)のために頑張る学生は多いです。
万が一失敗してしまったら、追試験というチャンスありです。
昔は、BACを取得している=希少価値でしたが、今は、合格率が85パーセント以上とかなり高いです。
結果は学校に見に行くか、オンラインでチェックします。
どちらの場合も、全受験者の結果が実名でジャ-ンと発表になり、自分も含め全ての人の結果を知ることができます。
BACの結果が出る7月頭、実はもう進学先の大学は決まっています。
え、じゃあ極端な話、BACは取得さえすれば、評価はどうでもいい、進学できるの?
まあ、そうだと思います。
なので、こんなに頑張って取得するのに、大学決定にはあまり影響を及ぼさないって理不尽だわというのが私の感想です。
大学への進学手続きは1月頭から3月までの間に、オンラインで行います。
手続きの際に、志望動機書+2年の全学期と3年の1学期の成績+2年時のBACの結果の3点セットを提出したと思います。
そう、3年生のBACの結果は提出しない、いやできないんですよ。
5月末から大学への合否通達が始まります。合格、waiting list、不合格の3段階で通達されます。
優秀で複数校から合格をもらった学生は3日以内に自分の進学先を決め、通達する義務があります。怠ると、合格は取り消されてしまいます。
こう見ていくと、フランスの進学はなんとなく日本の推薦入試に近いのでしょうか?
日本と同じ、一発緊張物の受験も、エリ-ト養成機関であるLes Grandes Ecoles関連ではあります。
成績が悪い子は即座に受験不可とはねられます。厳しい現実😿
もっと、細かい情報もあるのですが、とりあえず ざっくり BAC情報でした-。
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